終日企画

“自称物書き”のブログ

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前哨戦



 月とは違う光源が夜空にあるが、街の人間はだれ一人としてそれに気がつかない。
 人々には世界は変わらぬようにしか映らず、自分たちがいまどういった状況下にいるのかも理解してない。
 噂話がある。
 異形の怪物の噂。
 体内から血液が失われた死体の噂。
 街を徘徊する殺人鬼の噂。
 都市伝説としてしか語られないそんな話が、街中の人間の間で実しやかなに囁かれだしたのが何時のころなのか。
 話している本人も、話を聞く人たちにもわからない。
 ただ、いつのまにか、漠然とした印象が自分のなかにあり、それを口に出すことで互いの印象が結びついて噂が現実味を帯びていった。
 そうして、ただの噂が現実を侵食する。

 AM 01:30 海浜公園

 一定の間隔で配置された街灯のみが光源であるその場所は、時間が時間だけに人気というものが微塵も感じられない。
 昼間、それも休日ともなれば人々の憩いの場にもなるが、それが遠い空想の光景にも感じられる。
 そんな場所にただ一つの人影がある。
「……皆殺し、ですか」
 人影は広場の中心に立つと、物騒な言葉を呟いた。
 地面は煉瓦敷きであり、街灯に照らされた地面には、大小様々な黒点が広い範囲で煉瓦敷きの地面を汚している。
 この国で普通に生きてきた人間にとって、人影が呟いた言葉に現実味を帯びることは難しい。
 だが、屈んでその黒点を指でなぞれば、それだけで皆殺しという言葉が現実なのだと理解できるだろう。
 それは明らかに血液だった。
 それも、地面を汚してからそれほど時間は経っていないのか、血液は凝固せず、温かみさえ感じられる。
 人影はそのことも含めて現状を確認し終えると、ずっと自分を見つめていた遠くの誰かを睨みつけた。
 広場から人影が消える。
 ついで空気を震わすのは、鉄と鉄がぶつかり、弾ける甲高い音。
 常人では理解しえない領域での戦闘行為。
 流れ弾が幾つかの街灯を粉砕する。
 流れ弾――刺突、投擲用の礼装である黒鍵が街灯を、地面を穿ち、敵をも貫くために十、二十、三十と次々に撃ちだされる。
 それはガトリングの如き連続一斉掃射。
 が、点ではなく、もはや面としての攻撃と化している黒鍵の投擲をもっても、その相手への決定打どころか、隙を誘発させるための囮にさえならない。
 経験ではなく、根本的に実力が違う。
 黒鍵の主とその相手では、基本性能に覆せない差がある。
 だからこそ、黒鍵の主は勝利することを放棄し、次へ繋ぐための布石を打つ。
 相手へ向けて撃ちだされ続けた黒鍵が、相手などいない見当違いの場所へと放たれた。
 それは広場に点在するいくつかの樹木。
 黒鍵が樹木に突き刺さった瞬間、樹木は突然の炎にまかれ炎上する。
 広場に上がる炎の柱、そして空にあがる黒煙。
 こうなってしまっては、すぐにでも大勢の人間が集まってくる。
 これで、この場の戦闘行為は終結した。
 黒鍵の主と相対していた何者かがその場を去ったのを確認して、黒鍵の主は事後処理を開始する。
 遠くからはサイレンの音。炎を見た近隣の住民が通報したのだろう。
 とりあえず、消防車やパトカー、野次馬が集まる前に、黒鍵の主は事後処理を終えるとその場を後にする。

 戦線を離脱し、自身にとってもっとも優れた狩場に戻った弓兵は、遠くに見える炎が消えたのを確認して背後を振り返る。
 そこには見慣れた少女の姿があった。
「どうだったアーチャー?」
 自分のマスターである少女にそう問われ、弓兵は先ほど対峙した敵を思い出す。
「どうもこうもだな。この街の魔術師でアレを抑えきれるのは彼女ぐらいのものだろう。それも、七、三と見たがね」
 つまり、少女では戦闘にもならないと、弓兵のサーヴァントは告げた。
「得物から考えれば教会の代行者だろう。教会のシスターの言っていた者で間違いない」
「教会の代行者か……ならカレンの言っていたことは本当ね」
 少女は広く、街の全景を見つめる。
「あぁ、どうやら冬木に鬼が紛れ込んだ」
















ってわけで久々の型月SSどえす。
続ける気はありますが、どうでしょうね、遅筆なんで簡便してください。
つうか、DDDはいつでるんですかねー。
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2013-02-11 Mon 18:38 | | #[ 編集]

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