終日企画

“自称物書き”のブログ

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久しぶりに


「なぁ理樹。もうそろそろ許してやってもいいんじゃないか?」
 最愛(!?)の恭介の言葉にも、理樹は首を横に振る。
「理樹。真人も本気で反省している、見てみろ」
 真人は反省しているようだった。
 上半身裸で、
 ブリッジをして、
 それでも表情は申し訳なさそうに眉を上げている(ブリッジ中故に)。
「なぁ理樹よぉ。当事者の俺が言うのもなんだけどさ……そろそろ許してくれねぇか?
 これ、頭に血が昇って気持ち悪いんだよ」
「馬鹿だっ!」
「にゃはは、真人くんは馬鹿だねぇ~」
「あぁ、真人少年=馬鹿。いや、馬鹿とゆう概念が生物の形をとったのが真人少年と言っても過言ではないな」
「――――――それは、流石に言いすぎだと思います」
「わふー、ストレルカそんなところをなめてはいけ、あっ、いや、ばかん」
「あわわわわ、なんだかとってもエクスタシーな感じになってるぅ」
「小毬ちゃん困ってる」
「って、途中からもう話が反れるどころか別次元に変わってるんですけどっ!」


久しぶりに…の続きを読む
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リトバスSS | コメント:2 | トラックバック:0 |

井ノ原真人の憂鬱



「理樹、遊ぼうぜ!」
 授業が終わるやいなや、井ノ原真人は昔からの友人である直江理樹に話しかける。
「ごめん真人。今は、なんだかさすらいたいんだ」
 強い言葉だった。
 真剣な表情は真人をみておらず、真人は少しの寂しさと嬉しさの同居した微妙な顔になった。
「へっ。理樹っちもいい顔をするようになったもんだ。野暮なことはいわねぇ。行ってこいよ!」
 真人の言葉に理樹は頷く。
 教室から出ていく理樹を見送り、真人は自分はどうしたものかと考える。
 現在、井ノ原真人はバトルランキング暫定王者だ。
 自分から戦いを挑む相手がいない以上、いつ誰に挑まれても万全の態勢で戦えるようにしなくてはいけない。
 けれど、真人に戦いを挑む者はいなかった。
 最強と謳われた宮沢謙吾を倒して王者となった真人に、勝負方法がなににしたって挑もうと考える者は少なかったのだ。
(期待できるのは、もはや理樹っちだけかもなぁ)
 理樹の机の前でヒンズースクワットしながら真人は考える。
 理樹はいい。誰が何と言おうと誇れる親友だ。
 筋肉で遊んでくれるし、この前なんか、ついに理樹の筋肉でも遊んだ。
 俺ほどではないが良い筋肉だったと、真人は背筋運動に移りながら思い出す。
「きゃっ」
「おっとわりぃ」
 クラスの女子に頭が当たりそうになった。
 いけねぇいけねぇと、周りを見る。
 クラスメイトが周囲にいないことを確認して、真人は腹筋を始める。
「ふっ、ふっ。筋肉、筋肉」
 華奢に見えた理樹は着痩せするタイプだった。
 良い筋肉だった。
 僧帽筋こそまだまだだったが、三角筋から上腕二頭筋のラインは綺麗なものだった。
 大胸筋は見込もあり、腹筋はこれからに期待というところ。
「筋肉が唸る。唸りを上げる」
 理樹の筋肉を思いだしてるからか、真人の動きはヒートアップする。
 楽しかったなぁ。
 横でクド公が羨ましそうに見ていたっけ。などと、あったかどうかも定かでない記憶を辿る。
「っと、百回か」
 立ち上がり埃を振り払う。
 さて、次は背筋……いや、握力を鍛えるのもいい。
 なんのトレーニングをしようか真人は迷う。
 ブルルルル。小さく、ポケットに入っている携帯が震えた。
 真人にメールや電話をする者は少ない。
 履歴は九割理樹の名前で埋まり、一割は恭介の名前だ。
 メールを確認する。
「恭介か」
 メールを開くと、そこには理樹と謙吾の戦いの結果が載っていた。
「ひとつ前のメールは届いてないか―――へっ、やるじゃねぇか理樹」
 試合結果。勝者直江理樹。
 メールの内容は理樹が勝利し、三位になったことと、謙吾の新しい称号が書かれていた。
「モチベーションの低いカリスマ美容師か」
 夢はSASUKE制覇の方が謙吾らしいと考えたが、理樹の考えた称号にも味があると関心する。
「理樹なら。俺を負かすかもしれねぇ」
 だから、今のうちにどういうのがいいか、それとなく理樹に言っておくのもいいかもしれない、と。
 自分の机に戻り、中からハンドグリッパーを取り出す。
 その時ガララララと、教室の扉が開く音がした。
「おい馬鹿、勝負しろ!」
「なんだ真人コーポレーション女工作員A!」
「うるさい! そんな馬鹿な名前で呼ぶな!」
 突如教室に入ってきた棗鈴とにらみ合う。
「まてまて。観客はすでに集まっているから、まずは武器を投げ入れてくれ!」
 何時集まったのかもわからない観客が、何時来たのかもわからない恭介の言葉で武器が投げ入れられる。
 なんとなく手にあたったものを掴んだ。
「……ペーパークラフトの飛行機か」
 それなりに慣れ親しんだ武器だ。
 完成するまでの時間がダメージを受け続けることになるが、鈴の武器によっては心配ない。
「勝ったな」
 鈴のつぶやきが聞こえた。
 それに続くようにニャーニャーという声が聞こえた。
「げっ」
 最悪の結果だと言わざるをえなかった。
 真人の武器がペーパークラフトの飛行機に対して、鈴の武器(?)は猫十二匹!
「武器を選んだな? それじゃ、バトルスタート!」
 恭介の声が教室に響き、二人の戦いが始まった。


「うわっ! どうしたの真人!?」
 教室に戻ってきた理樹の驚きの言葉で真人は目を覚ました。
 真人は机に突っ伏し、制服は汚れ、肌の見えるところは無数の傷がついていた。
「理樹。すまねぇ。俺は、お前から称号をもらうわけにはいかなくなっちまった……」
「どういうことかわからないけど、なんとなく想像はつくよ……」
 その時理樹の携帯が震えた、メールが届いたのだ。
 理樹はメールを開く、中身は言うまでもなく真人の戦いの歴史だった。
 真人VS鈴。鈴勝利。
 真人VS来ヶ谷。来ヶ谷勝利。
 真人VS西園。西園勝利。
 真人VS小毬。小毬勝利。
 真人VS三枝。三枝勝利。
「どんだけ負けたのさ!?」
「鈴のあとに続いてずっと挑まれてな。―――今じゃビリだぜ」
 疲れたのかショックなのか、机の上に上半身を寝かせ、全身傷だらけの真人は目を瞑った。
「―――もう放課後だよ? 帰ろうまさ、いや。…………クズ筋肉」
 
 その日、真人は泣いた。泣いて泣いて、泣いた。



 なんか、書くネタが浮かんだものは大体真人ですね。筋肉いぇいいぇーい。
 それにしてもなんですが、長い文章の場合って勝手に「続きを読む」「全文を表示」とかになると思ってたんですが、
 全然そんなことはなかったです。
 話変わります。
 イラストを乗せようと思って最近いろいろ描いてたんですが、絵描き様がすごいと思いました。
 自分がもっているペンタブについていたPixiaを使用しているんですが、それで色も塗ろうと頑張ってますがうまくいかない。
 下書きもうまくいかなければなにもかもがうまくいかない。
 仕方がないので紙にシャーペンで描いてますが、駄目です挫けました。
 

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バトルランキング


 バトルランキング―――僕たちリトルバスターズのリーダーである恭介が発案したゲームだ。
 ルールは単純、戦いは常に一対一。参加者でありゲームメイカーである恭介の合図で、観客が投げ入れたあらゆる物を武器に戦う。
 勝者は敗者に称号を与え、暫定王者を目指して戦いを繰り広げる。
 自分よりもランクが下位の者からのバトルは断ることができず、また、対戦を挑めるのは自分よりも2ランク上の者まで、連続での対戦は無し。
 そう、このゲームが僕たちの運命を変えた。


 僕は一人での朝食を終えて学食を出た。
 いつもとちがう静かな朝食はなんだか味気なかった。
 けど、それは仕方のないことだった。
 最初、なにかがおかしくなったと感じたのは真人だった。
 連戦連敗。
 来ヶ谷さんや謙吾だけでなく、真人は小毬さんやクド、ついにはNYPを使ってない西園さんにまで真人は負けた。
 なにが悪かったと言えば、全てが真人にとっては悪すぎた。
 観客は筋金入りだ。それなりに武器としたものでのバトルではなく、「まさかそんなもので!」という面白武器での戦いを求めた。
 それだけじゃない。観客は武器だけでなく、戦う人間にも笑いを求めた。
 ―――僕は真人以外に、こんなに面白い人間を知らない。
 真人からすればこの言葉を黙って聞くことはできないだろう。
 強さを求め、肉体を鍛え続けた真人。
 けど、そのせいで真人は世間一般に馬鹿というイメージを定着させてしまい、それに応えるように馬鹿をやってきた。
 それは幾つもの伝説を生み、生きた伝説として真人をさらに馬鹿にした。
 そうして、真人は、壊れた。
 

 教室が活気づいている。
 最近じゃ珍しいことではない。
 ちょっとした時間と場所があれば、それはあらゆるところで行われている。
 扉を開ける。ガラガラという音に続くのは、まさに戦場となった教室内に響く観客であるクラスメイトの声だった。
「いけぇぇぇぇ!」
「負けるなー!」
「きゃぁ、あぶなーい!」
 戦いはいつもに増して白熱している。
 良いカードなのだろう。
 机がどかされて中心が広場となっている。
 熱中するクラスメイトから隠れるように、僕は自分の席に荷物を置いた。
 そこで一際大きな歓声が上がった。
 決着がついたのだ。そしてそれは、戦いに勝った者と負けた者ができたことを告げた。

 マナーにしていた携帯が小さく震えた。
 開いて確認するとメールが一件。それを開いて中身を確認するとなにも書かれていなかった。
「―――勝者は井ノ原真人。現在二位であった宮沢謙吾を破って二位に上がった」
 目の前に恭介がいた。
 その瞳は薄く開き、一見すると悲しい面持ちをしている。
「そう、ついに来ちゃったんだね」
 恭介が頷く。そして、僕も決意を固めた。
 僕は視線を人垣の中に向けた。
 クラスの中でも大きい、見知った背中がそこにあった。
 人がちりじりになり、真人の全身が見えた。その前に、今戦いで負けたばかりの謙吾の姿があった。
「謙吾……」
「理樹。お前は話しかけては駄目だ。あいつはいま敗者であり『真人の強さに憧れる少年の友達の兄』なんだ。
 暫定王者であるお前に話しかけてもらいたくはないはずだ」
 そうだ。僕にだって覚えがある。
 戦いに負けたときの悔しさ。
 恥ずかしい称号をつけられたときの切なさ。
 慣れてきた武器を手に取れなかったやるせなさ。
 謙吾もいまそんな気持ちなのだろう。
 そして、真人はずっとそんな気持ちだったのだ。
 だから僕はやる。
 同情はする。けれど、それで手加減したら真人をもっと苦しめる。
 僕は王者なんだ。
 最初の戦い、僕は幾度となく負け、勝ち。結局、四位という中途半端な結果で終わった。
 それから鍛えた。肉体だけでなく、あらゆる武器を手にとっても戦えるようように練習した。
 そして今の僕がいる。
 一度の防衛を果たし、この戦いが終わったころには二度の防衛を果たす。つまり、
「―――」
「―――」
 真人がこちらを見ていた。
 見慣れた顔じゃない。勝者であり挑戦者であり、いまは敵である僕を睨みつけるように見ている。
 真人の決意が伺えた。けど、そんなものじゃ倒れてはやれない。いや、今度も勝つのは僕なんだ!
 
 その日の放課後、現在第二位『屑な筋肉の私』井ノ原真人からの戦いの申し出を受けた。


 部屋で課題をやっていると扉がノックされた。
「はーいどうぞー」
 扉が開き、入ってきたのは謙吾だった。
「理樹、今いいか?」
 神妙な面持ちで部屋に入ってきた謙吾は、僕の返事もきかずに床に座る。
「どうしたの?」
「真人のことだ」
 なんとなく、謙吾の話そうとしていることがわかった。
「理樹。手加減しろとは言わない。必ず勝て。―――俺では、いまのあいつを救うことはできなかった」
 救う―――そう、真人は救ってやらなければならない。この戦いという舞台から。
「あいつは、あいつは今までだって強さを求め続けていた。
 それは男なら誰にだってある一番を目指す強い心だ。
 あいつには自信があった。確かに、竹刀を持った俺に勝ったことはないが、それでも武器をもたないあいつに俺では勝てない。
 言うなれば互角だった。
 ……恭介はやっかいな遊びを思い付いたもんだ。
 何が投げ込まれるかわからない緊張感と、どうしようもない武器をとったときの絶望。
 だがな、それは相手も同じこと。手にした武器が互いにどうしようもないものであれば、そこに手加減という言葉はいらなかった。
 だからこそあいつも俺も、バトルランキングという、気兼ねなく戦えるこの遊びは楽しかった。
 しかし、あいつは負け続けてしまった。何が悪かったといえば全てが悪かった。
 あいつは、体を鍛えることだけに躍起になった、だから誰もができることが多少苦手なんだ。
 他のものがすぐに慣れる武器でも、あいつはそれに慣れるのに時間がかかり、だから負け続けた。
 いいか理樹。お前はずっと底辺にいたものの底力をしらない。あいつは、お前が簡単に勝てた井ノ原真人ではない。
 あいつはすべてを失ってから這い上がった生粋のチャレンジャーだ。油断をするな」
 それだけを告げて謙吾は部屋から出て行った。
 結局、謙吾が言いたかったことは油断せず全力で戦って叩きのめせに要約された。
 わかったよ謙吾。
 僕は負けないよ。戦いというものに飲み込まれた真人は、僕が救う!


 放課後になって恭介からメールが届いた。
 挑戦者である真人とともに体育館で待つ、と。
 ついにきたこの時が。
 というか、今まさにHRが終わったばかりなのに真人も恭介ももう体育館にいるのか。
「理樹」
 謙吾に頷いて立ち上がる。
 さぁ、戦いが始まる。


 体育館は酷く賑わっていた。
 同学年の生徒だけでなく、先輩後輩を含め、体育館からあふれんばかりの生徒数だった。
 僕が現れて体育館に入る道ができあがる。
 セコンドのように僕の後ろに謙吾がついてくる。
 道のなかに見知った顔があった。ここ最近、破竹の勢いで勝利を重ねた真人に負けた来ヶ谷さんたち。
 『真人コーポレーション女性工作員A(アダルト担当)』来ヶ谷唯湖。
 『真人コーポレーション女性工作員B(本来は事務官)』西園美魚。
 『真人コーポレーション外交官(でも英語だめ)』能美クドリャフカ。
 皆の心配そうな瞳が僕を見ている。それに強気な瞳で見返す。
 安堵したような表情になる三人。けど、来ヶ谷さんだけはすぐに心配そうな表情をした。
 口が動く。この喧噪のなか聞き取ることはできないけど、なんとなく『気をつけろ』と読めた。
 体育館の中心にたどりつく。
 そこは一番の賑わいを見せる。
 その中心には審判である恭介と、挑戦者である真人の姿があった。
「来たか理樹。だが、少し遅かったようだ」
「えっ」
 恭介の言っていることがわからない。
 遅かったって、それはどういう―――
「み、見ろ理樹!」
 謙吾が声をあげて指をさす。その先に、倒れた鈴の姿があった。
「り、鈴!?」
 僕は駆け寄って鈴を抱き起こす。
 鈴は目を開けた。まぁ、なににしたって気絶してたら恭介が冷静にしているはずはない。
「理樹、きをつけ、ろ……いまのあいつは、ばか、じゃなくて。きんにく、だっ」
 ガクッと項垂れる鈴。
「鈴!? りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!」
 名前を呼んでゆすっても反応がない。まさか―――
「鈴、さがれ」
 恭介の言葉に鈴はすぐに立ち上がると、軽快な足取りで一番前で見ていた『真人の強さにほれ込んだ敏腕スカウト(牛殺し)』小毬さんのところに向かった。
「……」
 恭介が咳を一つする。
「コホン。鈴は、お前と真人の戦いをとめるために戦いを挑み。そして負けた。
 今のあいつは棗鈴であり『真人の強さに憧れて今猫使い(自分も猫)』なんだ」
 なんだ、って。なんだって言われても……。
「くっ、あいつめ。少しずつだが相手の核心を突く称号をつけれるようになっている!」
「……そうなんだ」
「あぁ! 『真人の強さに憧れている少年』ならまだしも『真人の強さに憧れている少年の友達のお兄さん』って、誰なんだ!」
 そう言えば現在の謙吾の称号はそれだっけ―――確かに、それ誰だよ! って感じで嫌ではある。
「理樹、時間だ」
 誰なんだ、とつぶやき続ける謙吾を置いて中心に向かう。
 そこで真人の正面に立った。
「真人」
「―――これで、これで認めさせることができる。
 お前らを、ここに集まったやつを、他の誰をも! 俺は強いと! 俺は最強だと! 無敵だと! 俺は強いと!
 理樹。手加減はしねぇぜ!」
 真人は真剣な顔をしている。
 ―――突っ込みはなしにしておこう。
「あいつ馬鹿だ!」
 外野から突っ込みが入る。とりあえず聞こえなかったことにしよう。
「コホン―――。真人。それは僕のセリフだよ。僕は王者なんだ。一度防衛もして。今回に限っていえば一度だって負けてない。
 謙吾にも来ヶ谷さんにも、恭介にだって勝った! 多くの屍を越えて、僕は王者になった!
 手加減なんてしないよ真人。さぁ、恭介!」
「あぁ! さぁ皆、武器を投げ入れてくれ!」
 歓声が上がる。
 そして場に次々と武器が投げ込まれる。
 僕としてはなんでもいい。なにを手にとっても誰にも負ける気はしない。
 ふと、目前に迫っていたなにかを手につかんだ。
 ビニールの感触。それは堅い何かを包んでいる。
 これは、あれだ。
 真人の手にも武器が握られていた。そしてそれは、
「へっ、こいつは運命を感じるな、理樹さんよぉ!」
 どんな偶然か、どんな運命が導いたのか。
 互いに手にした武器は―――うなぎパイ!

「茶番だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 真人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 どこかで聞いたフレーズが体育館内に響き渡る。
 声の主は謙吾。
 目をはちきれんばかりに開き走り出そうとする謙吾を、何人かの生徒が強引に止めている。
「理樹気をつけろっ! そいつは、そいつはうなぎパイというものを完全に理解し、使いこなしている!
 俺も、俺もうなぎパイに見事にいっぱい喰わされたんだ!」
「おっ、それ戴き。今ここに、新たな名言が生まれた!」

 『俺も、俺もうなぎパイに見事にいっぱい喰わされたんだ!』
 何人もの生徒に羽交い絞めにされて―――宮沢謙吾

「茶番だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、きょぉぉすけぇぇぇえええぇぇっ!!!」
 謙吾は泣いていた。
 悔しそうに泣いていた。

「コホン。続けるぞ。それじゃ各人武器も手に取ったところで―――バトルスタート!」
 泣きわめく謙吾。
 ヒートアップする観客。
 ざわめく体育館内で戦いが始まった。

 真人が踏み込む。
 その巨体は沈み、理樹との身長差があまり感じられない。
 前傾姿勢での突進はクマを想像させる。
 右腕を繰り出す真人。そして、しっかりと握られたうなぎパイが理樹の頬に当たる瞬間。
 シュッ、と。体育館内に風切り音が響く。
「馬鹿な。あの速度での一撃だぞ。恭介ぐらいならともかく理樹がよけれるのか!」
 落ち着いた謙吾が解説する。
「謙吾氏は理樹君を侮っているようだな―――少し前の話だが、真人君は理樹君の筋肉で遊んだのだぞ」
 
 来ヶ谷の言葉に、謙吾の背中に電流走る。
 勝負は一瞬だと考えていた謙吾の目論見は外れ、戦いはどちらが中てることができるかという段階に移行。
 両者、地獄の当たり待ち。
 
 十二ターンが過ぎた。
 理樹の攻撃。
 ミス、真人はダメージを受けない。
 真人はその隙をついての反撃。
 ミス、理樹は真人の攻撃を避けた。

 試合は動かない。
 互いのミスを誘うようなフェイントの連続。
 緊張の瞬間は一瞬で、そこ以外はなんでもない日常。
「筋肉、筋肉~!」
「筋肉、筋肉~! おりゃっ!」
 ミス、真人は攻撃を空振り、理樹にダメージはない。
「真人! 今日は筋肉運動会だよ!」
「なにぃ! 言葉通りの意味なら、俺の筋肉がはじけまくるぜぇぇぇぇぇ!」
 理樹の攻撃!
 ミス、真人はボディビルのポーズをして攻撃が当たらない。
「あれはサイドトライセップス! トライセップスこと上腕三頭筋を強調するポーズだ!
 みろ、あの逞しくも美しい上腕三頭筋のラインを!」
 どうでもいい謙吾の解説が響きわたる。
 
 そして二十ターン。
 場内は静まり返っていた。
 解説をしていた謙吾もだまり、審判である恭介もだまり、なにより当の理樹と真人もだまっている。
 だが、体育館内の誰もが、ただその一点だけを見つめていた。
「クリティカル。及び急所、こめかみへの一撃か―――誰か、担架を!」
 審判である恭介の言葉に体育館内が慌ただしくなり、倒れた生徒、直江理樹を担架にのせて運び出していった。
「恭介。判定はどうだ」
 真人の言葉に場内が静かになった。
 急所への攻撃は反則だ。だが、戦いを見守っていた誰もが、真人が故意に急所を打ったのでないことを知っている。
 結果を見れば反則負け。けれども、あれだけの戦いを繰り広げた真人に、それを言うことは恭介でさえできなかった。
「勝者は―――井ノ原真人! バトルランキング暫定王者の栄光は、お前のものだ!」
 恭介の勝ち名乗り。
 静まり返っていた場内が、一瞬で歓声に包まれた。
「井ノ原だ! 井ノ原が直江を破ったぞ!」
「うぉぉぉぉ、やりやがったぜ井ノ原!」
「井ノ原君かっこいい! でも付き合えないけどー!」
 場内に様々な言葉が響き渡り、その歓声が真人に本当に勝利したのだと確信させた。
「やった。やったぜ! 俺は勝った! 俺はつえぇ! 俺は最強! 俺は無敵!」
 場内に響き渡る井ノ原コール。
 生徒の誰もが井ノ原と叫び、リトルバスターズの面々も井ノ原と叫ぶ!
「真人。真人の強さは本物だったんだよ! 真人は強いんだ! 最高最強の筋肉の持ち主だよ!」
 保健室に連れて行かれたはずの理樹も叫んだ。
「ありがとう、ありがとうよ理樹! そうだ、おれは強い。でも、俺が強いのは筋肉のおかげだ!
 皆! 俺の名前はいい! 一緒に筋肉と叫ぼうぜ!」
 真人のマイクパフォーマンスに場内はさらにヒートアップする!
 筋肉筋肉!
 筋肉筋肉!
 筋肉筋肉!
「筋肉いぇいいぇーい!」
 筋肉いぇいいぇーい!
「筋肉最高っ!」
 筋肉最高っ!
 生徒たちによる胴上げが始まる。
 わっしょいわっしょい!
 わっしょいわっしょい!
 筋肉いぇいいぇーい!
 筋肉いぇいいぇーい! なのですぅ!
 筋肉いぇいいぇーい!
 筋肉いぇいいぇーい! げげごぼうおぇっ……。
 筋肉いぇいいぇーい!
 筋肉いぇいいぇーい! です。
 筋肉いぇいいぇーい!
 筋肉いぇいいぇーい!
「俺は、この最良の日を、筋肉記念祭として後世に伝えていくぜ!」
 うぉぉーーーーっ!

 そうして、世界は筋肉に包まれた。

 HAPPY END―――――――?








「はっ」
 気がつけばそこは教室だった。どうやら眠ってしまったらしい。
「おっ理樹。起きたのか」
 僕の目の前には真人がいた。
「ごめん。まっててくれたんだ」
「気にするなよ。俺達友達だろ? いや、まぶだちだろ?」
 真人の言葉に僕は笑ってしまう。
「なんだよ、笑うことねぇだろ」
「ごめんごめん。―――それよりさ、僕おもしろい夢を見てたんだ」
「へぇ、どんなだよ」
「それがね。えっと……ごめん、忘れちゃった」
「がくっ。まったく、理樹っちはへんなところで抜けてるな」
 真人が笑って、僕も笑う。
「それじゃ行くか、みんなもまってることだしな」
「うん。だけど、今日は二人だけで遊ぼう。僕と真人の筋肉を使ってさ!」
 真人はへっと笑う。
「そうだな。たまには、二人でずっと遊ぶのもいいかもしれねぇな!」
「そうだよ! 一人の筋肉じゃ辛いから、二つの筋肉をつなごう!」
「二人で寂しかったら、輪になって筋肉をつなげばいいぜ!」
 立ち上がる。真人と向かい合わせに立って構える。
「筋肉、筋肉ぅ~!」
「筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉わっしょい筋肉わっしょい!」
「筋肉様よ、鎮まりなされー!」
「うっわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 その日、西空に夕日が沈むまで、教室から筋肉という言葉が消えることはなかった。








お目汚し失礼しました。
読んでくれた方はありがとうございます。
流し読みした方もありがとうございます。
読んでいない方はありがとうさようなら。

構想十分、約四時間ほどで書き上げました。
最初と最後をなんとなくきめて、あとは気の向くままに書き上げましたがどうでしょうか。
リトバス本編をプレイすればわかるようなネタをそれなりに組み込みましたので、
もしかしたらクスリとしてくれたかたもいたかもしれません。
それにしてもノートは打ちにくい。
完成したところ14.4kbということなんですが、デスクならこの半分で済みました。時間のことですよ?
ただ、ノートだと寝転がりながら好きなときに思いついた言葉とかメモできるんで重宝してます。
あと、アニソンサマーライブとかいう番組がテレビで流れています。
アニメもアニソンも昔で止まっている身ですが、聞き覚えのあるものばかりで懐かしい気分です。
ちなみにどうでもいい裏話ですが、最初バトルランキングをバトルトーナメントって書いてました。ニアミス。
最近理恭及び恭理に凝ってるので、このカップリングでなにか書きたいですね。

「なんだよ理樹もうばてたのか? 腰にでまくってるぜ!」
「恭介―――問題を招くような発言はよしてよ。ただ荷物を運んでいるだけじゃないか。確かに疲れたけど」

とか、

「恭介。こんなに固くして、興奮したの?」
「い、いや。肩揉んでもらっているだけなんだが―――それより、どうしてメイド服なんだ?」

とかどうでしょうか。
それでは、できればちょくちょく更新したいと思います。
絵とか練習してるので、もしかしたらイラストを乗せることもあるかと思います。


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